中欧の撮影旅行から帰国し、ようやく一息。世界遺産を巡る旅の道中、スロバキアの古都バルデヨフ(Bardejov)で自分へのお土産として購入した一本を、自宅で解くことにしました。
手にしたのは、スロバキアの老舗ワイナリー「Tokaj & CO」が放つ、2007年ヴィンテージのトカイ・ヴィーベル 5プットニョスです。
歴史が醸す「スロバキアのトカイ」
トカイといえばハンガリーが有名ですが、実は国境を接するスロバキア側にも公式なトカイ産地が存在します。14世紀まで遡る深いトゥファ(火山灰)の地下セラーで、このワインは静かに眠り続けてきました。
5プットニョスという格付けは、伝統的な甘口基準において、136リットルのワインに5樽(約125kg)もの貴腐ブドウを贅沢に使用していることを意味します。
20年の時を経た「最高の飲み頃」
2026年3月7日、開栓。 バルデヨフの静かな街並みを思い返しながらグラスに注ぐと、およそ20年という眠りから覚めたその姿は、期待を裏切らないものでした。
バルデヨフやミシュコルツ、ブダペストの滞在中に開けた2本のサモロドニ。あのフレッシュな味わいとは実に対照的で、この5プットニョスには圧倒的な奥深さがあります。
色(Color) 非常に深いアンバー(琥珀色)。若さを通り越し、黄金が熟成によって深みを増した、時間という重みを感じる輝きです。
香り(Bouquet) 開栓直後は、長い歳月が香りを閉じ込めていたのか、少し控えめな印象。しかし、空気に触れると奥深いカシスのような熟成香が顔を出し始めます。若い貴腐ワイン特有の香りは、今は複雑なブーケの底に優雅に控えています。
味わい(Palate) 一口含めば、まずはその奥深い甘みに圧倒されます。トカイらしい鮮やかな酸は健在ですが、長い年月がその角を落とし、信じられないほどまろやかに、そして滑らかに変化しています。
結論:ポテンシャルの証明
まさに「今が最高の飲み頃」と言い切れる、奇跡的なバランス。20年近い熟成に耐えうるのは、この地が育むブドウの圧倒的な糖度と酸のポテンシャルがあってこそです。
バルデヨフで購入し、旅の相棒として運んできたこの一本。撮影旅行の慌ただしさを忘れさせてくれる、まろやかで奥深い一杯でした。
次はウィーンで手に入れた「LangのTBA」とどんな対話を繰り広げるのか。私の甘口ワインの探求は、まだまだ終わりそうにありません。

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